紙貼り作業手順
 相模の大凧の紙は、埼玉県の東秩父村の和紙を使っています。大凧への風の抵抗を少なくするため、紙の裏表、和紙の重ね合わせなど風の流れに沿うように工夫して紙貼りを行います。

 紙貼りの手順を紹介します。
 まず小貼りを行います。小貼りは、2尺×尺5寸の和紙を5枚貼って1枚とします。これを216枚作成します。次に中貼りを行います。中貼りは、小貼りの和紙を13.5枚貼って1枚とします。これを16枚作成します。その後、大貼りを行います。大貼りは、中貼りの和紙の周りに縄(ナイロンロープ)を入れて大きさ1間×4間の和紙を16枚完成させます。最後に十分に乾かします。
 題字書き作業では、この16枚の和紙に題字を書きます。

1 小貼り

(1)用意するもの
 
@
A
B
3尺×2尺の和紙540枚強 ・・・強度を高めるため半切にする
糊  ・・・ボンドを若干薄めたもの
刷毛、ボール、机、シートなど

(2)準備
 
@
A
B
シートを敷く。
机をセットする。 <写真1-1>
和紙を半分に切る。半切の和紙は1,080枚必要。実際には、補修分を含めて1,090枚程度作成。 <写真1-2>
C
糊を作る。<写真1-3>
写真1-1 写真1-2 写真1-3
(3)小貼り
 
@
A
半切の和紙4枚に糊を付け。 <写真1-4>
糊付けした和紙を手前から貼り合わせ、最後に糊が付いていない1枚を貼り、5枚を1枚として完成。 <写真1-5>

B 小貼りの和紙を216枚作成。 <写真1-6>
写真1-4 写真1-5 写真1-6
2 中貼り

(1)用意するもの
  
@
A
B
C
小貼りした和紙216枚

コンパネ
刷毛、ボール、釘、空き缶、机、シート、紙押さえ棒など

(2)準備
 
@
A
B
シートを敷く。
糊付け台、和紙貼り台をセット。<写真2-1>
糊を作る。<写真2-2>
写真2-1 写真2-2
(3)右側(表から見て右側)の中貼り
 
中心の小貼りの和紙が最も上となり、風が中心から外側(右側)に流れるように小貼りの和紙を下に重ね、13.5枚を貼り合わせる。そのとき、小貼りの和紙は、風が上から下に流れるように下に重ね合わせたものとする。

 
@
A
B
C
小貼り12.5枚を糊代4〜5cm程度として並べ、糊代に糊を付ける。
糊付けしていない小貼り1枚を一番下の糊の付いた小貼りに貼り、引き抜く。
次に、一番下になった小貼りに、引き抜いた小貼りを貼る。
この要領で、13.5枚を貼る。
写真2-3
写真2-4 写真2-5 写真2-6
  
D
貼り終わったら、床に置き、再度貼った部分を確認し、剥がれていれば、糊付ける。
写真2-7
3 大貼り

(1)用意するもの
@
A
B
C
中貼りした和紙16枚

コンパネ
刷毛、ボール、釘、空き缶、シート、紙押さえ棒など

(2)準備
@
A
シートを敷く。 <写真3-1>
糊を作る。 <写真3-2>
写真3-1 写真3-2
(3)大貼り
  
@
コンパネを敷き、1間×4間の長方形を作図する。各角に釘を打ち、大貼りした和紙に縄(ナイロンロープ)を入れる台を作る。<写真3-3〜3-4>
写真3-3 写真3-4

A
中貼りした和紙がある程度乾いたら、コンパネの作図に合わせて糊代が均等となるように配置し、四隅の釘で留める。<写真3-5〜3-6>
写真3-5 写真3-6
  
B
C
2m50cmと7m80cm超のナイロンロープを結び、結び目を四隅の1箇所に合わせる。<写真3-7〜3-8>
ロープ2組で大貼りの四隅の釘に引っ掛けて、それぞれを塀頭結びで結ぶ。<写真3-9>
写真3-7 写真3-8 写真3-9
 
D
E
糊代に糊を付け、ロープを巻き込むように貼る。 <写真3-10〜3-11>
四隅を補強する。<写真3-12>
写真3-10 写真3-11 写真3-12
 
F
G
コンパネから移動し、床に置いて乾かす。<写真3-13>
ある程度乾いたら、風通しの良いところに移動し、十分に乾かす。<写真3-14>
写真3-13 写真3-14
<解説:新戸大凧保存会 加藤明夫、写真:新戸大凧保存会 渋谷隆司 初版:2007年3月>

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