大凧製作見学記

新戸凧連御中
平成18年4月 相模原市 涌田 久子
 この度は突然お伺いしまして大変ご迷惑をおかけしました。
 竹の準備は別としましても3月から2ヶ月以上気の休まる時がなかったと存じます。大事な所は責任者が指導されたり手を加えたりされながら、それぞれの部署で仕事に取り組んでおられる様子を拝見いたしまして、竹割きは個人の技でありますが、連係プレーがよくできていると思いました。

 紙貼り作業では大勢の方々が心を一つにして励んでいる様子が窺えました。大貼りの時、風の抵抗を少なくするために風の左右によって張り方が異なるなど凧連だけの秘密だったかも知れない。私はそれを知り、大発見をしたかのように嬉しくなりました。

 骨組みの時、「紙押さえ」という言葉をよく耳にしましたが、竹を組むのに紙押さえは何だろうと疑問でなりませんでした。すると四つ割りの時の竹の内側が風によって紙を押さえてくれる役目をすると教えていただきました。なるほどと一つ一つ謎が解けていきました。そこで骨組みの様子を見ると、一番下に横骨、次に縦骨、枡骨、最後に親骨とその厚み(高さ)の多さに驚きました。ここでも風の抵抗を考えて色々工夫されていました。親骨と中骨の間に枕が当てられていたことです。

 大凧の製作に当たっては竹の組み合わせから始まり、小手縄巻き、大凧の組み立て、張りを入れる、そして大凧完成までわずか2日間で仕上げてしまいました。技術面は勿論のこと、凧連一人一人が一つの目標に向かって真剣に命を懸けて取り組んでおられました。例えば紙押さえの結び方1本にしても、緩かったら支障をきたしますし、ましてや親骨、枡骨等の太い竹に異常があったら大きな事故になってしまいます。そうしたことを踏まえての作業ですから、まさに真剣そのものです。

 凧作りをしている時の気持ちを副会長に伺いました。「凧は毎年作るものだが、同じ凧を二度と作ることはできない。その年の竹の具合を見て作るものだから、その時その時が勝負なのです。竹は生きています。その竹に愛情をこめて立派な凧を作りたいという信念から熱い血が流れます。僕たちはみんな凧作りが好きだから続けているのです。」と自信にあふれるお言葉でした。

 二つとない相模の大凧は、日本一立派な芸術作品です。

 さて凧連の横のつながりはどうでしょう。まるで竹の骨組みに似ている感じがいたします。竹と竹が支えあい、それを小手縄でしっかり巻きつけるように、凧連の結び付きは上下左右とがっちり組まれております。地域を凧に例えるならば、凧連が親骨となって小骨を支えながら、温かく明るい地域発展のためにご尽力ください。

 何回も見学させていただき、学ぶことが非常に多かったです。それにも増して凧連の優しい心に触れることができ、感激いたしました。我がふるさと、新戸の良さをしみじみ味わいました。

 5月4日、5日の大凧まつりには、風が程よく吹いて大凧が大空に舞い上がりますよう心から御祈りいたします。ありがとうございました。
竹割き 紙貼り 大凧製作
<写真:新戸大凧保存会 提供>

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